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「ねぇねぇ、天崎さん!」
珠輝の朗らかな呼び声に、倫音は我に返る。
「アウトロー風味だけど、ちょっとイイ男が来たわよ。どう? タイプじゃない?」
年配の婦人層が9割を占めるデパ地下の売り場で、その男は異彩を放っていた。
ところどころ擦り切れたライダースジャケットを羽織り、悠然とマダム・ヨーのブースへと近づいてきた長身の男。
「豚まん1つ、ください」
前置きなく豚まんを指差した彼こそ、倫音が3年間消息を知ることのなかったタカシだった。
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