2.いつわりの恋愛

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------------------------- 「戻りました~。あれ、天崎さんは?」 30分休憩から売り場に帰ってきた紗奈は、3坪ほどのブース内に倫音の姿が見えないことに気づいた。 「聞いてよ、紗奈ちゃん。天崎さんったら、元彼と運命の再会!」 「元彼!?」 「そうよぉ。だから私、機転を利かせて、今日は早退させたの。今頃、2人で仲むつまじくナタデココを摘まんでるわよ!」 「元彼って…天崎さんは処女だって、店長言いきってませんでしたっけ」 「あら、そうだったかしら? たまには外れることもあるのよ、私の勘も」 慧眼に優れている珠輝が見当を外すなんて…と紗奈は首を捻ったが、あっさりと自身の発言を却下したことには「店長らしいですね」と頷いた。 この思い込みが思わぬ出来事の引き金になろうとは、誰も知る由がなかったのだけれど。
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