3.よこしまな真実

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「迎えの約束に遅れて、ごめんね。あ、彼女がお世話になってます」 片手にかざした予備のヘルメットを倫音と佐田の隙間に目掛け、タカシは山なりに投げ入れた。 正確なパスを漏れなくキャッチした倫音は、かつて演劇部で鍛えたアドリブ力で瞬時に話を合わせ、佐田に告げた。 「もう、待った~遅い~! すみません、彼と先約があるんです。では!」 ものの数秒でバイクの後部シートに飛び乗ると、仁王立ちのままの佐田を残し、走り去った。
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