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店休日の第3火曜日。
「天崎さん、ここ、ここ!」
新装開店したばかりの小洒落たカフェで、タカラジェンヌならぬパリジェンヌのような出で立ちの珠輝が、手を振りながら倫音を招いた。
「ごめんなさいね、遠いところまで。どうしても、オープン記念のサービス期間中に来てみたかったの」
「いえ、こちらこそ…貴重な店休日にお呼び立てして、すみません」
佐田との関係を確認すべく思案した結果。
「今後の進路と就活について相談に乗ってほしい」と持ちかけたところ、天神屋デパートの立地から離れた市外の店で会うことを珠輝から提案されたのだ。
「天崎さんこそ、例の元彼とデートしないの?」
タカシのことを元彼だと信じたままの様子に、倫音は胸がチクリと傷んだ。
「そんな予定は…」
予定といえば、待ち伏せからの拉致未遂事件以来、ドライブの件は立ち消えとなったのだ。
天神屋店内で会っても、佐田は倫音と目を合わそうともしなかったし、使いっ走りの塩谷を通じて再度誘いをかけてくることもなかった。
すれ違いのシフトが週明けから続いた紗奈とも、連絡を取らず終いのままだった。
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