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「マダム・ヨーで正社員になってみる気になった?」
「それは…」
珠輝から切り出され、佐田との不倫について問いただす、という本来の目的が揺らぎそうになりながら、アイスカフェオレをストローでかき回していたその時。
見覚えのある車が、視界に入ってくる。
信号待ちのため、ゆっくりと静止した漆黒のミニバン。
ハンドルを握っているのが佐田であることは当然だが、助手席の意外な人物に、倫音の目は釘付けになった。
「もう、うちの子には手を出さないでって釘を刺していたのに…」
呆れたように、珠輝が小さくため息をつく。
佐田の隣に座る第3の女は、マダム・ヨーの同僚である紗奈だった。
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