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古びた雑記帳を、そっと倫音は差し出した。
「日記のような、メモのような…雑記ですね、本当に」
パラパラと捲ると、そこには料理のレシピから、ワイドショーの芸能人ネタ、自作の川柳などが脈絡なく書きなぐられている。
全て、『電話は嫌いだけど、書くことは好き』と公言していた母・静による自筆だった。
最終ページには、こんな記述があった。
『お墓はいらない。葬儀も必要ない。骨は砕いて、海へと撒いて…』
口出しをする親族もいないので、全てがシンプルに片付いた。
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