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「げっ、また例のオバサン来た！」
天神屋デパートの地下食品売り場の一角にある、中華料理惣菜店『マダム・ヨー』にて。
アルバイト店員の三上紗奈は、グラム数に応じて価格の発行される計量器の陰に思わず隠れた。
「相変わらず、代わり映えしないわねぇ～」
頭のてっぺんに付け毛だと丸分かりのお団子を乗せ、CHANNEL(チャンネル)という、これまたバッタもんだと丸分かりのロゴが入ったバッグを持った『例のオバサン』は、文句を言いつつ、バットに盛られズラリと並んだ惣菜の前に仁王立ちになる。
「う～ん、今日のは、ちょっと辛いわねぇ」
商品の１つであるチンジャオロースを掌に取ると、堂々と口に放り込み、モグモグと咀嚼を始めた。
「やだぁ…何で、いつも店長がいない時に来るのよ」
『例の』バッタもん・モグモグ『おばさん』は、店番が紗奈１人になった時間帯に必ずやって来る。
早番の昨日は午前中に現れ、大学の講義を終えて午後から入店した今日は、店長が休憩に入った14時きっかりに姿を見せた。
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