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おっきくは無いけれど、一応マンションと名の付いた洋風の建物。私の部屋はその三階にある。
食事を終えた真人が、煙草を吹かしている。そんないつもの光景に安心を覚える。
「愛里」
トンッ、小さな箱がテーブルの上に置かれた。
「これ、指輪……?」
何度か目にしているからわかる。宝石が入ったケースの包装箱を手にして驚く。
「準備、いるんだろ?」
開けてみたらシンプルだけど美しいダイヤのリング。そろそろ結婚の準備を始めたい、って。言った時には返事が来なかったのに。
「貸して」
リングを私の指にはめ込んで、真人が笑う。優しい目が好きで付き合い出した。
「ありがとう、真人」
腕を前にして、指を広げてリングに魅入る。素敵なガーデンチャペルが思い出されてた。
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