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心が苦しくて、傷くて。あの腕を離しちゃだめだって思っていたのに。傷つけて、壊した。私は自分からあの腕を離したんだ。
何故―― 流生だったんだろう。真人じゃなく、どうして流生に惹かれてしまったんだろう。
「流生……」
引き留めてくれなかった流生を思い出す。あれが流生の本心なのかな。絡んだ視線は揺れ動いてた。
確かに貴方の腕に抱かれたのに。本当は少しも愛されていないのかもしれない。
『また作ってよ』
柔らかい木漏れ日の中、肩にもたれた流生を思い出す。眠そうにしてる流生も、ライトダウンした中、急にキスをして来た流生も。もうこんなにも私の心の中を占めているのに。
貴方に逢いたい―― 私は駆け出していた。
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