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――流生! 携帯に表示された名前は流生。
『愛里?』
「うん」
『今…… 何処?』
うん…… 込み上げてくる嬉しさに、声が詰まった。
『また泣いてるんだ?』
「泣いてない」
耳に聴こえてくる流生の声が私を安心させていく。
「――嘘つき」
不意に…… 背中から身体を包み込む両腕。私の胸元を抱きしめて絡む流生の力強い両手。
「やっぱり泣いてんじゃん」
「なんで!? 流生」
どうして此処にいるの……?
「それ、俺の台詞」
「あ……」
振り返って流生の顔を見たら、今まで見たことが無い、知らない表情が向けられてた。
優しい? 刹那い? ……それとも違う何か。潤んだ瞳に惹き込まれそうになる。
逢いたかった―― 振り返って、流生の腕の中に飛び込んでいた。
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