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二度と―― 目の前の君を攫わせない。
何も無いベッドルームに、ルームランプの明かりだけが灯される。薄灯りの中、口づけをした愛里は艶っぽく微笑みを返す。
他の誰かにふれられたのか――
紅い唇を。甘い匂い放つ膨らみを、しなやかな腰も。許せないこの感情を俺は知らない。
「う…ん…っ……!」
唇だけじゃ足りない。君にもっとふれたい。舌にふれた指先に熱い息がかかる。漏れ出す吐息に、高鳴った感情が答えを見つける。
これは嫉妬―― 俺は苛ついている。
認めてしまえば簡単だった。白い肌に口づけを重ねていく。愛里の身体の線に指を這わせていく。息が漏れた瞬間をまた狙う。
目を閉じて深く息を吐く―― 荒い息は君のせい。
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