揺れて動く

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揺れて動く

【side_愛里】   すごい人波。改札口から溢れ出して来る人の群れの中に彼を見つける。 「真人(まなと)!」 声を出した私に気が付いて、真人が歩いて来る。 「ただいま」 「お帰りなさい」  もう一年くらい続いてる遠恋中の彼。付き合って今年で四年め。並んで歩くのは久しぶり。  「どうしたい? 食事の支度ならして来たけど」 「行く」 真人は時々、返事が短文になる。慣れたけれど。  歩く彼の手を握る。照れ臭いのか、ちょっと振り払おうとするのが真人の癖。それを構わずに手を繋ぐ。 「ちょっと痩せた?」 元々細身の方だったけど、顔も身体もどこか引き締まったような。 「週末、ジムに行き始めた」 そうなんだ。軽いショック。全部を話す必要は無いけれど、もっと早く知りたいな、それくらい。
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