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あの二人の死体を、発覚の時間を稼ぐために山へ埋める作業が俺等には残っていた。
だからあの夜。憎き久遠氷雨の腕の中へ飛び込んだ愛おしい彼女を奪う事を一度諦めた。
そしてここ、英国に、俺と夜紘は逃亡したのだ。
さぁ、まだ物語は終わってないよ。
狂気に塗れた、俺達の愛と物語はこれからが始まりだ。
「早く日鞠の情報を集めろ。あの野郎から奪うぞ、俺等の華を。」
「当然だよ。」
二人で顔を見合わせて、同時に頬を緩めた。
愛しい愛しい俺の夜紘。
そして俺等の愛しい愛しいお華である彼女…椎名日鞠ちゃんにまた触れるその時まで。
「夜紘、愛してるよ。」
「俺も、千智を愛してる。」
蜜のように甘い二人きりのこの空間で。
薬のように心を癒してくれる二人きりのこの空間で。
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