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「タロも食べるかい」
もちろんだ。
居間に持って来たパンは、見た目はふっくらとしていて艶もある。焦げたり粉っぽいなんて事も無い。
「うん。うん、良いんじゃないかい。まぁ、まだパサついてるけど、最初に比べたら進歩してるじゃないか。ほれ、タロも」
まだ熱々のパンを千切り、息を吹き付けて冷ましてから僕の前に置いてくれた。
少しぱさぱさしていて硬さもあるけれど。確かに今までで一番だ。きっと次はもっと上手く焼けるだろうな。
それにしてもパン作りと言うのはとても手間と時間が掛かる。
それだけ労力を使って失敗しても、諦めずに作り続けるのはどうしてだろう。
ふとそんな事を考えたが、今はまたこうして元気になったスマさんと一緒に過ごせるだけで充分だ。
もう一欠けらのパンも食べた僕は、喉が渇いて水をたらふく飲んだ。
そんな僕を見てスマさんは「やっぱり喉が渇くねぇ」と笑いながらお茶を飲んでいた。
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