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翌日、昨日と同じように図書室へと向かう。私より少し早く来ていた先輩はいつもの席で本を読んでいた。
私は昨日先輩が借りていた本を取ると、先輩の姿が見える定位置へと移動する。
手の中にあるのは、昨日先輩が持っていたあのフクロウの本だ。パラパラとめくってみるけれど、中身はやっぱりフクロウで。ただ、可愛らしい表紙とは違って意外と詳しくフクロウの生態について書かれていた。これを読めば、私もフクロウについて詳しくなって先輩とフクロウトークができる日が来るかもしれない。
「……あれ?」
何ページかめくったところで、私はそこに何かが挟まれていることに気付いた。それは、グレーの栞だった。誰かの忘れ物だろうか。……もしかして、先輩の?
「…………」
……誰も、特に先輩が私を見ていないか確認するために、左右を見回す。うん、誰も見ていない。本当は返したほうがいいのだろうけれど……。私はさっと栞を手に取ると、こっそりとポケットに入れた。
先輩の(ものかもしれない)栞……。これで本を読めば、まるで先輩と本の貸し借りをしているような気分に浸れるかもしれない……。
「ふふ……ふふふ……。っと、いけない」
にやける口元を手で隠すと、私は栞が挟まっていたページを見た。いったいどんなページに先輩は栞を……? もしかして、私が知っているよりもフクロウって凄い生き物だったとか……。
「つがい……?」
そのページに書かれていたのは、フクロウのつがいについてだった。一度、パートナーとなった二匹のフクロウは片割れが死ぬまでずっとパートナーでい続けるのだという。なんてロマンチック。死がふたりを分かつまで、っていうやつね。でも、どうしてこんなページに栞を……?
結局、読めば読むほど、私の中での疑問は大きくなるばかりだった。
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