100回目で初めて

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「…………」  私が微笑むと、莉帆は瞳を揺らした。 「私もね、冗談言っていいかな」  私は微かに頷く。  それを見た莉帆は小さく深呼吸をしてから口を開いた。 「神様がね、夢に出てきたの。あなたのお母さんは五百年もの間魂を燃やし続けて来たけど、最後の百年間が……一番美しい燃え方をしてたって」  ああ、神様はちゃんと見ていた。  私が百回も転生させられたのは、きっと私がきちんと生きてこなかったからだ。  人を、自分をも愛してこなかったからだ。  失敗したっていい、情けなくても、カッコ悪くてもいい。  人生は、一度きりのなのだから。 「おかしな夢よね」  莉帆が笑った。私も笑った。  それから、莉帆が背に隠していた黄色い花の花束を私の眼前に差し出した。 「これ、誕生日のお祝い。好きだよね、向日葵」    向日葵。それは直人の笑顔を彷彿させるものだった。 「百歳のお誕生日、おめでとう」  その言葉を最期に、私はゆっくりと目を閉じた。
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