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桜の花の咲く頃に③
「新田キャプテン、根屋先輩、本当に今までありがとうございました。
自分なりにキチンと区切りを付けられました」
小走りに2人に追いついた柴崎は新田に頭を下げる。
新田は胸についている赤い花を柴崎の胸につけ、
「色々葛藤もあったと思うがこちらこそありがとう。
勝てなくて悔しい試合はあったが、悔いが残るような試合はなかった。
お前のおかげだ。気持ちのいいプレーをさせてくれてありがとう。
これからも、がんばれよ」
「ありがとうございます。頑張ります」
「落ち着いたら、顔を見せに行くよ」
「はい。みんな喜びます」
深々と頭を下げる。
柴崎と別れクラスメイトとの打ち上げに向かう途中。
「なあ根屋」
「なんだよ」
「お前、式の時は指輪してなかったよな」
「やっこれは没収されたら・・・」
「幸せになれよ」
多くを語ることなく新田は根屋を祝福した。
「別に指輪の奴が誰とか・・・」
「そういう事にしておくが動揺しすぎだぞ?」
「良くも悪くもウソが下手なのがお前だけどな」
新田がクスリと笑い柴崎が去っていった後を振り返る。
「にったあー!!」
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