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谷口風花
「失礼します。林です。谷口先生はいらっしゃいますか」
返事がない。しばらくしてそれに気づいた他の先生が返事をする。
「谷口先生はここにいないから国語準備室にでもいるんじゃないのかな」
また僕は先生を探し廊下を足早に進む。
ズキズキと痛む頭はそんな僕にもお構いなしだ。
「失礼します。谷口先生いらっしゃいませんか」
「はいはい。ごめんね職員室に来てっていってたのにね」
準備室の中は風花のみ。
本校舎の離れにあるこの教室は日当たりも悪いうえ、今冬の寒さも相まってとても寒い。
中に入ったのは初めてだが、ヒーターすら置いておらず、風花もひざ掛けで防寒している。
「あれ、弘也くんは」
「たぶん、サボりだと思う。気づいたらもういなかったから」
「そっか、取り敢えず座って」
先生の隣のパイプ椅子。言うまでもなく冷え切っていて、座る瞬間にゾクッとする。
机の上には弘也の持ってた本。鳥肌がより一層増した。
「お母さんは元気」
「、、、」
「拓海くん、聞いてる」
風花が僕の肩に手を触れる。
僕はただ風花を睨んだ。
「なんですか」
「お母さんは元気」
1度目と同じように質問をする。
「相変わらず、です」
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