第3話 売られたケンカは倍で買います

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「向うの親御さんには…? お母さまが特に透さんを溺愛してるから、あなたも大変なんじゃない?」 「あ、いえ…まだお会いしてないんです。透さんが話してくれたみたいですけど、御園さんのことが片付くまではって」 私はまるでごみ処理置き場のダンボール並の扱いだ。 「ふーん」 けど、ここだけの話、透のお母さんは、私のこともすごく気に入ってくれてた。 もちろん、好きな人のお母さんってことで、私も人気のスイーツ、手土産に持っていったり、気に入られるように努力はしていたけれど。 両家顔合わせの日、私の手を取って、「これからは御園さん、じゃなくて、咲良ちゃんて呼んでいいわよね? 義理だけど母子なんだから」そんな風に言ってくれたお母さんに、透はなんて言い訳するんだろ。 復讐するつもりなんだから、慰謝料だって、私はきっちりもらうつもりだし。 「あちらのお母さん、とても厳しくてマナーや作法にうるさい方だから、順序の違った結婚なんて、なかなか受け入れてもらえないかもしれないけど、頑張ってね」 「…もちろんです。私が結婚するのは、お母さんじゃなくて、透さんですから」 アドバイスじみた嫌味を言ってやると、美雪はびしっと言い返してきた。 うわ、やっぱり私とガチで張れるんじゃん。 私と違うタイプ選んで、ほっとしてるんだとしたら、…当てが外れたかもよ、透。
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