第3話 売られたケンカは倍で買います

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基本的に透は優柔不断で八方美人だ。 人と争ったり揉めたりするのは大嫌い。 だからこそ、私と美雪と二股掛けて、結果、最悪の事態に陥っちゃったんだろう。 「白井さん、…咲良。一体何を…」 私のことを咲良、と言った透に、美雪は不満そうな顔をした。 …若いなあ。思ってること全部表情に出てる。 美雪はもう別れたんだから、私と透は無関係だって思いたいのかもしれないけれど、3年も付き合ってたんだし、婚約だってしてた。会社の人だってみんな知ってる。 関係は断ち切れても、そこに至るまでの絆も思い出も、ゼロになるわけじゃないんだよ、美雪ちゃん。 「御園さんにご挨拶してたんです。透さんにはもう、不必要に近づかないでくださいね、って」 ドヤ顔の美雪に、透は一瞬げんなりした表情になった。 「君が咲良にそんなこと言わなくていいよ。会社にも僕から伝えるから…」 「はーい」 「白井さん。今日また連絡するよ」 「お待ちしてます」 にこりと笑うと、美雪はまだ待機してたエレベーターに乗り込んだ。 やれやれ。思わず透と私は同時にため息をついた。
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