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第3話 売られたケンカは倍で買います
次の日、始業前の営業課のフロアに突然あの子が来た――白井美雪。
「昨日はご挨拶出来なかったので」
にっこりと笑って、軽く会釈する。
わざわざ透が来る前に私のとこに挨拶ですか。
名前通りの白い肌に、ナチュラルなメイクを施して、私たち営業とは違って、受付の彼女は、ベージュが基調の制服をきっちりと身に纏ってる。
外見からは凄く真面目なおとなしそうな女の子に見えるし、私も昨日まではそう思っていたけれど。
この子、相当気が強いと見た。
「わざわざどうも」
「あの、今回はこんな形で御園さんから奪うみたいな形になってしまってすみません。けど、私ずっと宮本さんのことが好きで…あの夜も…ただ傍にいてあげたくて、それだけだったんです」
今、『あの夜』に力こめた?
要はケンカ売りに来てるんだよね?
今日から、宮本透は私の男だから、手を出すな、って釘差しに来たんだよね?
「傍にいるだけで子ども出来るんだ。すごい生殖能力だね、あなたも宮本も」「…や、それは…」
もうしっかり妊婦のくせに、今更恥じ入るところかよ。
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