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それからというもの、俺が行った血の滲むような努力たるや凄まじかったと我ながらに感心している。
走った。とにかく走った。ひたすらに走り倒した。
平日は放課後の誰もいない体育館で、休日は人気のない近所の公園で、毎日欠かさずに日が暮れるまで走る練習をした。
もはや努力を越えて特訓、いや修行の域にまで達していたんじゃなかろうか。違いはよく分からんけど。
ちなみに、人のいない場所をチョイスしたのは、必至に練習している姿を他人に見られたくなかったからである。それは『努力とか特にしてませんけど?』風を装いたかったというのもあるし、何よりも単純に恥ずかしい!
ともあれ、頑張っただけの成果はあった。
努力は人を裏切らない。そんな言葉が示す通りに、俺の足は着実に速くなっていった。
走っているだけで絵面が地味だから回想はしないが、ドキュメンタリー映画として公開すればカンヌ国際映画祭で最高賞を獲得することだってワンチャンあり得る気がする。
そんなこんなで遂に運動会当日を迎え、100m走のレース順が発表された。
俺が走る組のメンバーはモブ男が数名、加えてクラス一のモテ男と名高い竜ヶ峰。なんと理想的かつ好都合な構成だ。
竜ヶ峰はモテるだけあって確かに足が速い。およそ一月前の俺なら絶対に敵わなかっただろう。それどころかモブ男Aやモブ男Bにだって余裕で負けてた自信がある。
だが、今となってはどうだ。微塵も負ける気がしない。勝つビジョンしか頭に浮かばない。そして、女子達にキャーキャー言われて勝ち誇る自身の姿が容易に想像できる。
うんうん、これは間違いない……イケる!!!!
――間もなく、運命のレースが幕を開ける。
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