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「凶器は、ベッドサイドのワゴンからお選びください」
「凶器って……?」
見ると、花蓮がつい今しがた横たわっていたベッドの横に、銀のワゴンが置いてある。
二段式のワゴンには、点滴のパックや聴診器、体温計など、病院でよく見かける物が乗っていた。
花蓮がワゴンに近付こうとした時、再びスピーカーから声が流れた。
「制限時間はありません。百人の魂を集めた方から順に、魂の再生が行われます」
「魂の再生? どういうこと?」
再びベッドの柵に手を掛けると、花蓮は声の主に詰め寄った。
「左手をご覧ください」
「ちょっと!」
「その数字は、狩った魂の数です」
「ねえってば!」
「魂を狩ると、自動的にカウントされます」
どうやら声は、一方通行らしい。
花蓮は呼びかけるのを諦め、自分の左手を素早く開いた。
そこには『0』という数字が、青白く発光し、浮かび上がっていた。
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