魂の価値

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「これから、まだ魂の存在になった事実を受け入れられない方の為に、ご自身の最期となった場面をお見せ致します」 「さいごの……場面……?」 突然、室内が暗転した。 「きゃっ!」 花蓮の悲鳴と同時に、正面の真っ白い壁に、交差点の映像が映し出された。 咄嗟に花蓮は後ろを振り返ったが、映写機の類はなく、どうやら映像は、壁から直接浮かび上がっているようだ。 「あの交差点……」 よく見るとそこは、花蓮の自宅近くの交差点だった。 暫くすると向かいの信号が青になり、視点が少しずつ前進し始めた。 白い縞模様の横断歩道が、順に画面から消えていく。 周りが黒いのは、夜のせいだろう。信号の青だけが、眩しく周りを照らしている。 と、急に辺りが白く光った。 視点が、光の方へ移動する。 「車!」 花蓮が叫んだ瞬間、画面がブラックアウトした。
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