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"俺は、俺の隣の席のコイツに対して、
黙るように身振りで伝えた。
俺は、コイツの席の後ろに立っていて、
俺の後ろからは、俺の表情や手の動きは見えないし、
「シッ」等と、音をたてたりはしなかったから、
俺の背後に居る羽山と仲村には、この事は分からない筈だ。"
「...」
"コイツは、察してくれたのか、黙った。"
「...」
"コイツは、黙ったまま、
俺の体でコイツからは隠れている羽山と仲村を、
覗くように見る。
しばらくして、コイツは、動作も黙った。"
「...」
"静かになっちまった。
こうなると、俺は、思ってしまう。
俺は今、関わりを無にしている訳ではなく、
逃げる形をとらされているのではないか?
これは.........苦しい。
俺がどうしたいのか、が、分からなくなる。
と、言った具合の気持ちであるかのような錯覚を覚える。
しかし、錯覚なのだ。
俺は、どうもしたくない。"
──早く、続きを話せよ。
「え、...あぁ。」
"話を戻そうとすると、逃げているような感覚をより強く感じた。
そっか、俺は未だに、この錯覚に捕まっているのだ。
後ろから聞こえる、意味合いすら聞き取れない笑い声が心地悪い。
そう感じたので、俺は、黙って教室を出た。"
「おい。」
"コイツは、ついてきてくれた。"
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