第一部 何で

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"俺は、俺の隣の席のコイツに対して、 黙るように身振りで伝えた。 俺は、コイツの席の後ろに立っていて、 俺の後ろからは、俺の表情や手の動きは見えないし、 「シッ」等と、音をたてたりはしなかったから、 俺の背後に居る羽山と仲村には、この事は分からない筈だ。" 「...」 "コイツは、察してくれたのか、黙った。" 「...」 "コイツは、黙ったまま、 俺の体でコイツからは隠れている羽山と仲村を、 覗くように見る。 しばらくして、コイツは、動作も黙った。" 「...」 "静かになっちまった。 こうなると、俺は、思ってしまう。 俺は今、関わりを無にしている訳ではなく、 逃げる形をとらされているのではないか? これは.........苦しい。 俺がどうしたいのか、が、分からなくなる。 と、言った具合の気持ちであるかのような錯覚を覚える。 しかし、錯覚なのだ。 俺は、どうもしたくない。" ──早く、続きを話せよ。 「え、...あぁ。」 "話を戻そうとすると、逃げているような感覚をより強く感じた。 そっか、俺は未だに、この錯覚に捕まっているのだ。 後ろから聞こえる、意味合いすら聞き取れない笑い声が心地悪い。 そう感じたので、俺は、黙って教室を出た。" 「おい。」 "コイツは、ついてきてくれた。"
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