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「おい。」
"隣の席のコイツが俺を追いかけながら、
声をかけてきた。
俺達は、今、教室から出て、
教室の隣の階段を降っている。
俺は、階段の途中で立ち止まり、
壁に寄っ掛かって、"
「ハハハ(笑)」
"コイツは、笑った。
何故、笑ったのか?
それは、俺がコイツの方を向いて、
口の前で、人差し指を立てて、
「シッ」と、発音するときと同じように歯を見せたから。
そして、何故か、「シッ」というよりは、
笑みになってしまっていたから。
そしたら、コイツも笑いだした。"
「ハハハ(笑)」
──ハハハ(笑)
"こうなってしまったら、
もう、笑うしかない。
俺の笑みが、
コイツの笑いを誘い、
コイツの笑い声が、
俺の笑い声を誘った。
これでは、どちらが笑いを誘ったか、分からない。"
「何で、笑ってんだよ?(笑)」
"コイツは、まだ、笑いが抜けないまま、尋ねた。
こっちが聞きたいよ。"
──お前こそ。
"俺は、コイツに歯を見せた。"
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