第一部 何で

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"俺は、荷物を取るために、教室に向かおうと、 階段を上っていた。 黄金(こがね)もさっき、教室に荷物を取りに行ったから、 出くわしちまうだろう。 そう思ったが、教室に行っても、 黄金(こがね)は、居なかった。 羽山と仲村は、居た。 俺は、黙って荷物を取り、教室を出た。 その(かん)、一度も羽山と仲村に視線を向けていない。" 「おい。」 "誰かが呼び止めた。 俺を呼び止めたのかは、分からない。 名前を呼ばなくても、反応する人物に声をかけたのだろうから、 俺は、当てはまらないので、俺は、違う。 だが、今の声は、羽山のものであり、 さっきの時点で、周辺には、俺と羽山と仲村以外の気配は無く、 羽山が会話している仲村を呼び止める訳が無いので、 本当は、俺が呼び止められているのだと感じているが、 名前は、呼ばれなかったので、 より普通の考えである、前者だと理解し、 そのまま、階段を下り始める。" 「おい。」 "肩を捕まれた。 俺は、振り返って顔を確認する。 羽山だ。 俺は、羽山と接する時は、基本、黙る姿勢をとる。 余計なことをなるべく話さないように。" ──・・・・・・・・・ "つまり、これは、いつも通り。 至って、自然だ。 ただ、羽山は、いつもおかしい。"
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