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後日談 2 彼は濃厚な閨を希望する
終わりそうにない、噛み合いそうにない二人に割って入り、キュリオさんには部屋から逃げ……出て貰った。
不安気に瞳を揺らしたレゼット様はまだ泣いている。私とキュリオさんの不貞を疑っているのだろうか。
「いい加減泣き止んで下さい。貴方の考えてるようなことはないんですから」
「でもキュリオが、」
「妻の言葉が信じられませんか?」
「っ、し、信じるけど」
「けどは要りません」
ビシッと言えば、ぐっと口を噛み締め押し黙る。
彼は言ったはずだ。全部を受け入れなくていいと。あらぬ疑いは許容出来ません。
かと言ってこの寒空の中、大変な仕事を終えて帰って来た夫を労わないのも気が咎める。
毅然とした態度を和らげ微笑みかけたら、目を見開き、ファナファナと、私の名前を連呼しながら抱き付いて来た。
「ファナ、シたい!」
「ええ?」
「あらかた片付いた。明日は俺が居なくても大丈夫だろう。いや、大丈夫じゃなくてもキュリオに任せるからいい!」
「あ、あああの? え?」
「ファナは俺の妻なんだろう? 夫の願いは聞いてくれ。今すぐファナの中に入らなきゃ嫉妬でおかしくなる!」
「いいい今っ?! 入るぅんんんっっ!」
唇に食いつかれ言葉が切れた。
抱き締める手が妖しく動き、性急に服を脱がせにかかる。え、え、えええ?!
唐突に始まった行為に目を白黒させている内に寝台に運ばれた。背がシーツに埋もれ、のしかかられ、すっかりと肌けた胸元に吸いつかれる。
「ああ、ファナ。綺麗だ。俺の妻、俺だけの妻、ここに触れて舐めてもいいのは俺だけだ。そうだろう?」
「ちょ、恥ずかしいこと聞かな、んんっ」
「痛くないか? どこをどうしたらいい? 教えてくれ。ファナには気持ち良くなって欲しいんだ」
「……っも、黙っ、やだぁ……っ!」
「ん、ここは嫌か? じゃあこっちにしよう。足を開いて。見せて。俺しか入れない場所に触れさせて」
太ももを掴まれレゼット様の頭がそこに入り込む。
羞恥で頭が爆発しそう。どうしたらいいか考えが纏まらない!
「本で得た知識だが子種を注ぐ秘めたこの場所は、唇や舌でも愛し合うそうだ。上手く出来たら至上の悦びを与えるらしい。初めてだがさせてくれ。精一杯頑張るから」
次の瞬間、自分の股に生温かい滑りが蠢いた。
あまりの強烈さに腰が浮き、逃げを打つ身を力強い腕が押さえ込む。
「ん、気持ちいいか? どうだ? だいぶ濡れてきたが言ってくれないと分からない。ゆっくりするのと激しくするのとどっちがいい?」
拷問! これは拷問ですレゼット様!!
言葉も出せないほどの刺激で、ほとんど意味のなさない叫びを上げている。そうすると彼は益々熱心になり、目の奥がちかちか、あらぬところはとんでもない悦に震えが走る。
やめて! もういい! ダメっ、ダメっ、あああっ!
我慢出来ない、制御不能な何かに襲われて、ぐったりと力が抜ける。甘やかな痺れに意識が途切れそうになった瞬間、素晴らしい笑顔のレゼット様を見た、気がした。
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