4 鏡像
1/6

4 鏡像

 また、あの夢を見た。  真っ白な世界を彷徨う、夢。  遮る物もなくじりじりと照りつける太陽の下、私はただ歩き続けていた。  何のために、どこへ向かうのかも分からないまま。  血の臭いがした。  足元の白い流砂に目を移すと、そこには赤黒く変色した凛の死体が横たわっていた。  身を屈めて、胸から腹まで切り裂かれた死体の傷口に触れる。  指先に付いたその赤い血で、そっと自分の唇を撫でる。  喉が、からからに乾いていた。  ふと気付くと、鮮血の溢れ出す凛の傷の隙間から、誰かが私のことを見つめていた。  その沈鬱な眼差しを、私はどこかで見たことがある気がした。  凛の体の中に潜んだまま、その瞳は嘲笑うかのように私を見つめ続ける。 「あなたは……誰?」  私は凛の死体にまたがり、柔らかい皮膚に両手を掛けて傷口を広げる。  体の中には、誰も居なかった。  気味の悪い笑い声とともに、そこには果てなく続く深淵のような闇がただ広がっているだけだった。