百、ツの願イ

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俺は気付いた。 そうだ、知識だ。俺にはまず知識が必要だ。 しばらく億万長者と一文無しを繰り返して、ようやくその結論にたどり着いた俺は、早速ランプに願った。 『俺の頭を良くしてください』ってな。 そしたらな、願い方が悪かった。 賢くなれば、世界中の知識が頭に自動的に流れてくると思った。 けどそうじゃねえ。 ただ単に、猛烈に、俺には知識がない事が、すごい速度で理解できただけだった。 賢くなった頭で、今まで読んだことの無い本に目を通したら、『今までこんなことも知らなかったのか』ってことが理解できるんだ。 それが世界中にある。 こんなの、辛すぎる。 ガキが、大人の会話に聞き耳たててもあんまわかんねえ時あるだろ、それが突然、わかるようになった時、思うんだよ。 「俺は、今まで会話に混ぜてもらえてすら無かったのだ」 ってな。 そっからはもう、金使って、知識を求めて、どうしても不可能な事を願っての繰り返しだ。
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