Sadism Ⅲ

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Sadism Ⅲ

 ハローワークに通って一ヶ月、私はまだ仕事にありつけそうにない。資格も特技もない私を求めるような会社は、どこにもないのかもしれない。雨が降る中、私はようやく自宅のアパートにたどり着き、郵便受けの中を確認する。特にこれといった手紙は届いておらず、入っているのはチラシばかり。私はチラシの束を握りしめて、部屋へ向かった。  家に入ってからチラシを下駄箱の上に置き、レインコートを脱ぐ。そのとき、私の目に一番上のチラシの文字が飛び込んできた。 「パートナー求む。高額報酬保証」  いったい何のチラシだろうと、私は手にとって確認してみる。チラシの内容は、セックスパートナーを求めるものだった。バカバカしいと思いながら、チラシを破り捨てようとしたその時、報酬額に目が釘付けになった。 「一回で五十万円!?」  私は思わず大声を上げ、もう一度よくチラシを読んでみる。  それは、ただのセックスパートナーの募集ではなかった。いわゆるSMプレイのM役を探すものだ。胡散臭いと思いながらも、私は興味を惹かれていた。  SMプレイに特別な興味があるわけじゃない。興味があるのは報酬だけだ。半年前に会社をクビになって、三ヶ月ほどは失業保険で食いつないだけど、今は貯金を切り崩して生活している。その貯金も、もともと殆どなく、そろそろ底をつきそうだ。そんな私にとって、五十万円は魅力的すぎる。
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