今世 Ⅰ《幼少期》〜清水 千佳の人生の始まり〜

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今世 Ⅰ《幼少期》〜清水 千佳の人生の始まり〜

眩しい光に俺は目を覚ました。 目の前には見覚えのない天井があった。 木の天井のようだが、色合いは白っぽく、建てられてからそんなに年数が経っていないことがわかる。 自分の横側はどうなっているのか確認しようとしたが、頭に傘が突き刺さっていた事を思い出し、諦めた。 そういえば、とても痛かったはずの頭が今は全く痛くない。誰かが処置をしてくれたのだろうか。後で礼を言っておかないと。 「あらー千佳ちゃん、もう目が覚めまちたか? ぐっすり寝れまちたか?寝れまちたかー、 よかったでちゅねー」 …誰だ、この女は。 突然視界に現れられて、俺は驚いた。 ていうか、ちかちゃんて誰だ。 彼女は、俺を軽々と持ち上げ、何処かへと連れて行く。 この怪力女は、俺を何処へと連れて行くのか。 必死に抵抗するも、力は敵わなかった。 俺が連れて来られたのは、今まで見たことのないもので溢れる部屋だった。唯一てれびはわかったが、小さいし、画面には色がついているし、番組を変えるダイヤルはついていない。その前にこの家庭にてれびがあること自体、俺には衝撃だった。 俺の住むところは、とても田舎で、てれびとかの電化製品はとても高価なもの。 だから、俺はこう思った。 何処かの裕福な人が医者を呼んで俺に処置させ、目が覚めるまで寝かせてくれたのだと。
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