今世Ⅱ《小学校低学年》〜“私”と野球とバスケット〜

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今世Ⅱ《小学校低学年》〜“私”と野球とバスケット〜

「なぁ一緒に野球しようよ〜」 「…なんで私?」 「絶対楽しいからさぁ、頼むよう」 小学1年になってすぐの頃、近所に住む同級生の男子が、俺を野球部に入るよう勧誘してきた。 ちなみに俺が「私」というのは、身体の性別に合わせた結果だ。 俺自身前世では高校球児だったこともあり、「野球」という単語に心が動いた。 でも、彼の勧誘は断った。 俺が野球に関わったら、また同じような運命を辿るかもしれない。大事な仲間を傷つけて失うかもしれない。世間体を気にする今世での親父はいい顔しないかもしれない。 そして、野球をすることは自ら死への道筋へと辿ることになる。 俺は今世では、野球には全く関わらない生き方をしようと決めた。 何回も誘ってくる彼には本当に申し訳なかったが、断固拒否を貫いた。 6月も半ば、野球部に入らないことを諦めようかと思っていた頃、あるスポーツの練習風景を偶然目にした。 体育館の中のコートでゲームが行われていたのだが、俺は一瞬にして釘づけになった。 それが、俺とバスケットボールとの出会いだった。
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