貪婪師匠

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そう仰ると大きな革の鞄を持って書斎を出られました。 私は慌てて、白井さんを追いかけました。 外は生憎の雨で玄関口に立掛けた蝙蝠傘を白井さんは力なく広げられました。 「要君、先生が欲しいモノがわかりましたら教えて下さい」 そう仰る声にも力がありませんでした。 私は肩を落として雨の中を帰られる白井さんが不憫でなりませんでした。 白井さんに教えて戴きましたが、先生が書けなくなると、暫くの時間を要するようでございまして、いつも寝室に閉じ籠り何も受け付けなくなるそうなのです。
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