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友人Tの見解
こんなところまで私の駄エッセイをご覧頂いている皆さまなら、私が日々いかにドジとアホを重ねてきているかも、それによって怪我が多発していることもご存知であるかと思う。
当エッセイの記念すべき一発目は、私の歴代の輝かしいドジと怪我の話であるが、何故こうもドジをやらかすのかということについては、自分でもよくわからなかった。
そもそも、自分では怪我が多い方だと認識してすらいなかったのだから。
ところがこの長年の私の謎に、メスを入れた人間がいる。
私の旅エッセイ『くまのほそみち』ではお馴染みの、福島にいる友人Tだ。
今でこそお互い遠い地で暮らしているが、元は中学時代の友人、同じ土地で育った者同士である。
気まぐれに連絡を取り合う、楽な友人関係を続けること、かれこれ○○年。彼女は私自身よりもよく熊野を見抜いている。
そんな彼女が出した、熊野がドジをして怪我をするメカニズムとは。
「熊野ってさ、体の末端まで神経が行ってないような気がするんだよね」
ん?
ちょっと、詳しく話を聞こうじゃないか。
Tいわく、私を見ていると手足の動きが明らかにおかしいらしく、わざわざ自分からぶつかりに行こうとするなど、およそ自力でコントロールしているとは思えないのだそう。
「猫が、しっぽを水に浸けちゃうのに気づかないのと似てるかも」
「なるほど」
つまり、自分の所作を自分で把握していない状態だ。
「だって、怪我するの手足ばっかりでしょ?」
と彼女は言う。
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