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父の日、何の日? パンツの日
題名をご覧になって、何だ?と思われた方も多いかもしれない。
私も書いていて何だこりゃと思った。
何のことはない。
父の日に、父にパンツを贈っただけの話である。
一般的に言われている(または各小売店が推している)父の日のギフトと言えば。
・お酒、おつまみなどの食品
・ネクタイやシャツなどの衣料品
・趣味に関するもの(例えば……申し訳ない、出てこなかった)
・他、一般的にギフトとして贈られるあんなものやこんなもの
しかし、どれもうちの父にはピンと来ない。
お酒は好きだが、昔から自分の好きなものを勝手に買っているので、私から下手にあげるより、自分で買った方がいいだろう。
ネクタイはしないし、私服もとんとセンスがない。
服だって、自分で買いやしない。興味もこだわりもない。
適当なシャツとジーンズが1本あれば十分である。
一応、ギターは弾くし音楽は好きだが、それに絡めたプレゼントは思いつかない。
そもそも父は、あまり物欲がない気がする。
物をあげて、嬉しそうにする姿がどうも思い浮かばない。
でも、何かあげないと機嫌を損ねる。
面倒なやっちゃ。
そこで私が出した結論は、パンツをあげること。
きっかけは、母が『父のパンツのストックが危うい』と発言したことだった。
父がどんどんパンツを履きつぶしてしまうらしい。
どうしたらそんなハイペースでパンツをダメにしてしまうかやや不思議であるが、それよりも注視するべきはパンツのストックが危ういという現実である。
もちろん、母の方でも買ってはいるが、あればあるほどいいと言う。
正直、父にお洒落になってもらおうとか、そういうのは全くもって諦めている。
何を着せても様にならないのだ。これは服が悪いのではない。マネキンが根本的に悪い。
しかし、自分の父親がノーパンになるかもしれない緊急事態は、さすがに娘として看過するわけにはいかない。
そんなわけで、ここ数年は、パンツを実家に送りつけている。
母にも好評だし、父のお礼メールもまんざらでもなさそうだ。
多分、この人は贈ることに意味を見出す人なのだろう。
だったら、もうパンツでも靴下でも何でもいいのだ。
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