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第1位:眉のど真ん中
《評価》
・驚き★★★
・珍しさ★★
・かゆさ★★★
・困った★★★
4項目中、3項目で満点を獲得した、レジェンドである。
ある日、右の眉毛の中に、赤く腫れた痕を発見した。
この時の衝撃度と言ったら。
蚊に問いたい。
何故わざわざ毛の中を刺したのだと。
眉毛の上にできた痕は、ちょうど眼窩の真上にも重なる。
骨の上とは、これまた厄介だ。
経過もひどかった。
発見時は小さかった痕が、だんだんデキモノのように大きくなってきた。
指でなぞると、ハッキリ突起になっているのがわかる。
かゆみもあるが、痛みの方が強い。
しかし、目が近いのでうかつに塗り薬も塗れない。
ただ、痛みに耐えて自然に治るのを待つ。
できるだけ触れないように気をつけてはいたが、洗顔や風呂上がりの化粧水などは避けて通れない。
指が触れると、また痛いのだこれが。
思わず『イテッ』と声に出す熊野。
痕が大きくなりすぎて、周りも赤くなっている。
これでは、眉の手入れもできない。
こういう時に、前髪というのは便利だ。
眉も痕も一緒くたに隠してしまえばいい。
いや、こういう時がないのが1番ではあるが……。
常に右眉に注意し続けた生活をして、およそ1週間後。
ようやく、眉に平穏が訪れた。
突起は平坦になり、痛みが引き、赤みもなくなっている。
よかった。
一時はまぶたにまで腫れが見られたので、どうなるかと思ったが、これで安心だ。
しかし、もう2度と刺されたくない。
もし、人間と蚊が意思疎通を取ることができるのなら、私は刺した当人を呼び出して、小一時間問い詰めたい。
何故、眉毛の上を刺す必要があったのか。
君にとって、一体どれだけの利点があったのか。
その辺を詳しく聞かせてほしい。
私の苦労と、君の利益が釣り合うくらいなら、まだ納得できる。
しかし、やっぱり腕の血の方がよかったなんて言おうものなら、これは私も黙ってはおれまい。
我々は同じ地球に住むいきもの同士だ。消滅してしまえなんてそんなことは言わない。
だが、ゆえにお互い損得はバランスよく取っていくべきではないか。
君に利点もなく、私は散々な思いをしたという結果はあんまりではないか。
全国の蚊の皆さんには、今後そのあたりに留意して頂きたいと思う。
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