熊野式ボジョレー・ヌーボー

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熊野式ボジョレー・ヌーボー

 今年も、あの季節がやってきた。  ボジョレー・ヌーボー解禁。  2020年、11月19日。Xデー。  酒好きを自称する私としては、この時期になると、そわそわする。それはまあ、そわそわする。  20歳になった歳から毎年、解禁される度に買って飲んでいる。  だから、かれこれもう○年も飲み続けているわけだ。  まあこんな風に、熊野は1人でワクワクしているわけだが、ワインを飲まない方にとっては、ニュースで話題になることくらいしかイメージがないだろう。それ以上もそれ以下もないと思う。  なので、例によって簡単にご説明を。  ボジョレーは、フランスの地名。ヌーボーはフランス語で『新しいもの』。  つまり、『ボジョレーワインの新酒』という意味を示す。  ワインの味がしっかりしているのに、フレッシュでとても飲みやすい。  渋みや辛みなんてものは、一切感じられない。  かと言って、甘いワインともまた違う。  ボジョレー・ヌーボー独自の味である。  その年の9月ごろに獲れたブドウを、たった2ヶ月でワインにするという、通常とは異なった作り方をするからだ。  普通は、もっと長く時間をかけて発酵させる。  なんでも、ワインはそこまで得意ではないけど、ボジョレーなら飲める、なんて人もいるとかいないとか。  一方、ワイン通の間では、このボジョレー・ヌーボーが美味しいかどうか、非常に注目されるのだと言う。  フレッシュなヌーボーはつまり、その年のブドウの良し悪しを教えてくれる。  ヌーボーが美味しければ、今年のワインは期待できるね!というわけである。  そもそもボジョレー・ヌーボーがこんなに有名で注目されるのは、こんな理由があるのだ。 ……でもさ。  今年のヌーボーはあれがこうだとか、風味がどうだとか言われるけどもさ。  1年前に飲んだワインの味なんて覚えてないよ。
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