32人が本棚に入れています
本棚に追加
「??」
え、何これ。割れた?
熊野、ピンチハンガーを持ち上げたまま、呆然と突っ立っている。
まだ洗濯物、残ってるのに。
実家にいた時も、何度か買い換えていた記憶はある。
しかし、はさみが取れたとか、どこかが欠けたくらいの損傷で、こんな見事に真っ二つに割れたところは見たことない。
いや……あの、空手じゃないんだからさ。
誓って申し上げよう。
私が力任せに壊したのではない。床に落ちた衝撃でこうなってしまったのだ。
落としただけで、この大破っぷり。そんなに酷使していたのだろうか?
あまりに見事で、そのうち笑えてきてしまった。
シンと静まり返った室内で、1人壊れたピッチハンガーを片手にうひゃひゃと笑う、日曜の夜9時。
持ち物も持ち主も壊れている。とんでもない光景であった。
ひとしきり笑った後、これらをどうにかして干さなければいけないことに気が付いた。
一瞬、セロテープでつけたら使えるか、などと小学生みたいな発想をしてしまい、慌てて消す。
まだ若干、動揺しているらしい。
タオルハンガーにかかっているバスタオルに少し詰めてもらう。残りは、普通のハンガーをフル動員して、どうにか全員干し終えた。
「やれやれ」
大体、日曜の夜に壊れるとは、タイミングが悪い。
まあ、仕事終わりでも買いに行けばいいのだろうが、土日休みの私としてはイレギュラーな買い物は、週末に行きたいのである。
しばらくは、ハンガーを駆使して干すしかなさそうだ。
それにしても、見るたびに笑えてくる。
この可笑しさを誰かに伝えたくて、私は写真を撮り、実家の母に送った。
母「ハハハハハ~( ̄▽ ̄)」(まま)
うん……その反応が正しいと思う。
ちょうどいい。来週は母と会う用があるから、母にも一緒に選んでもらおう。
とりあえず、今日は飲んで寝よう。そうしよう。
そして、翌週。
現在、2月6日昼の12時。
買いに行ってきます。
最初のコメントを投稿しよう!