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さて、何を買おうか。
身体が冷えているので、温かいものがいいだろう。おでんでも食べようか。
小さめのカップに入った、おでんを見つける。そのまま、レンジで温められるやつだ。
おお、最後の1つではないか。これは運がいい。
あとは、レジでチキンでも買おう。疲れた時は肉、これ鉄板である。
他にも、諸々カゴに突っこんで、レジに向かう。
稼働しているレジは3か所。
幸い、列は出来ていなかったので、そのうちの1か所にカゴを置いた。
財布や、自前の袋を出しながら、店員さんが商品を読みこむのを、何となしに見て――。
「!?」
驚いた。おでんが、カゴから2つ出てきたのだ。
え、何で? 私、1つしか買ってないはずよ?
これは、私がボーっとして無意識に2つ買ってしまったのか?
まさか、誰かがこっそり入れたわけじゃないし。
うわ、まずいな……全く、記憶がない。
って、いやいや。まずは1つ取り消してもらわねば!
ここまで考えること、約コンマ4秒(熊野測定)。
「あの、すいません、そのおでん、あの……間違えまして、1個、入れちゃったけど1個でいいんです、あの、間違えました」
在宅勤務のデメリットは、他人と話す機会が減るゆえに、会話が壊滅的に下手になる点も挙げておこう。
「1つでいいんですか?」
と店員さん。簡潔に言えば、そういうことになる。
「あ、はい、1つです、すいません」
とにかく恥ずかしくて、ペコペコするしかない。
普通に考えれば、おかしな話なのだ。
だって、自分で入れたんじゃん、と言われたら、もう何も言えない。
ダメだ、今の私はいつもに輪をかけて、どうかしている。
サッサと自宅に引き上げよう。これ以上、街にいてはいけない。
お会計、1198円。
私は1200円を出した。おつりは2円。
よし、これで完了。
レシートと1円玉2枚の乗ったトレーに手を伸ばす。
私は、レシートを持って帰らない派だ。
レジ横に、不要レシート入れが置いている場合は、必ず捨てていく。どこにも捨てるところがなければ、家に帰ってから捨てるが。
セブンさんともなれば、もちろん不要レシート入れは置いてある。
もちろん、今回も捨てていこう。
もう、何も考えなくても手が覚えている。
頭はぼんやりしたまま、私はトレーに手を伸ばす。
パッとつかんで、レシート入れに捨てた。
――1円玉×2枚を。
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