ドジの勲章

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ドジの勲章

 とは、私が長きにわたる人生において勝ち取ってきた、誇り高き勲章のうちの1つである。  私はドジでうっかりでおっちょこちょいだ。 『熊野さんって、しっかりしてますよね』  私を見た人に印象を聞くと、初めはこれである。 『意外と、おっちょこちょいなんですね』  いくらか付き合いが長くなるとこうなる。  待ってほしい。私は生まれた時からこうである。むしろ、最初の『しっかりしてそう』が一体どこから来るのかが、自分ではさっぱりわからないくらいだ。  数々の情けないドジを引き起こし、父に『ドジ子さん』と言わしめた私を、甘く見てはならない。  おそらく、理由の1つに人に見えないところでドジをしている、という特徴が(?)あると思われる。  誰かの前や、大勢の前で目立つドジをするのではなく、1人のときや周囲が目を外しているときにひっそりと、やらかすことが多い。  いっそのこと、誰かに見られて笑ってくれる方がよっぽどいいくらいだ。  家族や友人にも、いちいち自分から報告する始末。  私の心は2度、ダメージを食らう。  それでも、笑ってくれたり話のネタになるんなら、大歓迎だ。  むしろそうでもしてやらないと、情けなさで私の心はぽっきり折れてしまうだろう。  だからこうして、わざわざエッセイなどに書くまでになってしまったのだ。  一体、何が悲しくて見ず知らずの人間のドジ話など聞かにゃならんのだ、と思われるだろうが、まあ……軽い笑い話として楽しんでいただけたら幸いです。  あと、何か恥ずかしい思いをしてしまったときに、『ああ……もっと情けない人間が確かこの日本のどこかに……』などど、心の支えに使っていただくなどの使い道があると思われます。  では、さっそく私が今思い出せる限りのドジを挙げてみよう。  大半がケガ、他は忘れ物やなくしものなどだ。  少し痛い話もあるので、そういうのが苦手な方はお気をつけて。
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