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ホテルを出ると、小雨が降っていた。
予報で聞いてはいたが、今日は天気が良くなさそうだ。
さらに悪くなるようなら、あまり外は散策しないでドライブに徹してもいいかもしれない。
こういうとき、車というのは便利に思う。
車に乗りこみ、エンジンをかける。
自前のスピーカーと、音楽プレーヤーを出してセットする。
拙作、小説『28→18』にも書いているが、私にとってドライブに音楽は必須だ。
天気は良くないが、気分は絶好調だ。
1人にやりと笑うと、私は車を発進させた。
誰も見ていないのだから、問題ない。
さすがの連休でも、朝は比較的空いている。車自体はたくさん走っているが、混む、というほどではない。
渋滞も起きず、順調に車を飛ばす。
途中、道を間違えた。
次の左折のために左車線によっておいたら、1つ手前の交差点の左折レーンであった……。
どうりでみんな左に来ないわけだよ……。
仕方ないので、いったん左に曲がり、頃合いを見て転回して戻った。
車を走らせて20分ほど。トンネルを抜けると、国道45号線は海沿いに出た。
「わあっ!」
私は思わず声をあげた。
「海、荒れてる~www」
車のいいところは、窓さえしっかり閉めていればひとりごとでも熱唱でも何でも許されるところだ。
再び松島に来られた嬉しさと、あいにくの天気と海の様子が何だか面白くなって、私はアクセルを踏み込みながら「ぎゃははっ」と大笑いした。
明らかにテンションがおかしくなっている。
いや、待て待て。落ち着くんだ。
爆笑したまま、お目当ての駐車場を過ぎてしまっては困る。
よくカーナビを注意していないと、大変なことになる。
私は、もそもそ座りなおして、前方を注視した。
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