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さて、瑞巌寺の見どころは、何と言っても見事な本堂、および中の美しい部屋、ふすま絵だ。
昨日行った山寺が、修験の場であり、仏教の教えを伝えることを主とした性格に対し、瑞巌寺は美術や文化を伝え、人々の暮らしに近いような顔を持つ寺、そんな印象を受ける。
神社もそうだが、宗派や歴史、背景を知ると、寺社それぞれにいろんな顔があってなかなか面白く思える。
本来なら、本堂の中をお見せしたいくらいだが、撮影禁止なので気になる方はぜひ直接ご覧頂きたい。
2018年に終了した平成の大修理により、ふすま絵は見事に復元されている。
復元したてだから、金も見事に輝いている。
家来衆を待たせておく部屋も、これまた金ピカふすまなのだが、こんな金に囲まれてちゃ、落ち着かなそうだな……と思ったりもした。
まあ、でも藩主の菩提寺でくつろぐようではまずいだろうし、多少緊張感を持たせるくらいがいいのかもしれない。
廊下や柱、屋根の木の質感は年季が入っていて、これはこれでまたよい。歩くたびに、廊下がなぜかきしんで、音を立てる(私だけがきしんでいたわけではないことは、一応申し上げておく)。
廊下は全て外に開けていて、雨がさーっと降っているのがわかる。
靴がしみるのは嫌だが、水音をゆっくり聞くのも、悪くない。
ゲコゲコ、と音がする。
おそらく、庭の沼地にカエルでもいるのだろう。しかし、すごい合唱だ。
ここまで歓迎してくれるとは、これは恐れ多い。
私も、ゲコゲコとあいさつを返しておいた。
本堂を出ると、正面に宝物館がある。
いわゆる展示館であるが、別に料金は取られないし、せっかくなので行くことにした。
歴史、沿革の説明、調度品や文献などが展示されている。
つまり――歴史好きの私には、何にせよもってこいな場所だったわけである。
ついついよく見ようとするあまり、ガラスのショーケースに頭をぶつけるなどしたが、個人的にはとても楽しかった。
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