’19.04.29-30 山寺・松島に行く→2日目

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 さて、道が混むことを考えて、少し余裕を持って出なければならない。  私は立ち上がって、入店する際に使用した、下駄箱の鍵を出そうと、ジーンズのポケットに手を突っこんだ。  ……おや?  確か、ここに入れたはずだ。  しかし、入っているのは、車のキーだけである。  別のところに入れたのか?  そう思って、私は、反対のポケット、後ろのポケット、リュックの中、リュックのポケット、全てのポケットを探した。  しかし、ない。  リュックの中が汚いせいかと、物を出して探したが、ない。  参った。  しかし、なくしたとは到底思えない。  脱衣所でも、忘れ物がないことを確認した。  落としたって、わかると思うのだが……。  弁償……?  まずいな、と思いながら私は、最初に手を突っこんだポケットから車のキーを出した。  そして、もう1度手を突っこんで――。  あるじゃん。  どうやら、車のキーのさらに下に潜り込んでいたようだ。  何とも言えない脱力感が、私を襲った。  やはり、こうなのだ。これが私の通常営業なのだ。  大体、物をなくした、ないない、とひとしきり騒いだ後、ひょっこり見つかるのだ。  厄介なのは、また誰かに報告したり、一緒に探してもらったり、第三者を巻き込んでから解決するのである。  その点、今回は1人で見つけることができた。  まあ、なくしていたわけではなかっただけ、よかったとしよう。  それより、時間がまずい。  こんなくだらないエピソードで、文字数もページ数も無駄に使ってしまったが、時間も無駄使いしてしまった。  私は瓶を戻すと、あわてて外に飛び出したのだった。  ~*~*~  車を走らせて、仙台まで戻る。  高速を使ってもよかったが、あまり時間も変わらなそうなので、下道を使った。  もちろん、カーナビの案内に従って進む。  しかし、去年1度通っただけの道や景色を、案外覚えていたのが楽しかった。  そうそう、ここは右折車が多くて。  ああ、前に来た時もここで曲がったな。  この辺から、路線バスが通ってくるんだ。  楽しいのと、時間があまりないのもあって、スピードはやや出しつつ、走る。  といっても、あまり飛ばすわけにもいかない。  そもそも、混んでいるとまでは行かずとも、連休中の日中ともなれば交通量は多い。  下手に抜かしても、どこかで詰まって、後続車に追い抜かされるのが、せいぜいオチである。  信号を過ぎるとき、進行方向が同じ歩行者用のそれが、チカチカ転倒し始めたら、少しスピードを上げるくらいか。  そうすると、自動車用の信号が黄色になる前に、通り過ぎることができるのだ。  なるべく信号に引っかからないようにするための、小さな工夫である。  黄色になってから、いきなりスピードを上げるようでは危ない。  本当の運転好きというのは、もっと先まで流れを読んで、安全にスマートに運転してこそ、である。  私も、それくらいかっこよく運転できるようになりたいものだ。
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