32人が本棚に入れています
本棚に追加
そもそもうちの父は、家族の動向にまるで興味がない。
私や弟が、朝まで帰って来なくても、全く気がつかない。
早朝、からっぽの弟のベッドを見て、
「弟はもう出たのか、早いなあ」
などと言うくらいだ。
いやそもそも帰ってきてないし、と思う私と母だが、言うと一から説明させられて面倒なので、何も言わない。
本人の中で納得しているのなら、そのままにしておけばいい。
なので、まあ事後報告でも問題はないだろうな、と私は思った。
大体、娘宅に泊まると言って、ダメだ帰って来い、と言う度胸のある父ではない。あと、そんな権限もない。
「でもね、多分菜名ちゃんと会うってわかってると思うよ。私は何も言ってないけど」
と母は言った。
「菜名ちゃんと弟に何か買ってあげてって、5000円ずつくれたから」
まあ、しかし……。
私は、歩きながらぼんやり考えた。
これで、今日の時間制限はなくなったわけだ。
長い1日になりそうだ。
私は内心、ふふんとほくそ笑んだ。
~*~*~
さて、本日の趣旨は、お互いプレゼントを買いあう、である。
「かあちゃん、何欲しいの?」
と私が聞けば、
「うーん……何だろ」
この返事。
「菜名ちゃんは何かないの?」
「んん、まあ、なくはないけど」
見よ、このグダグダっぷりを。
この親にして、この子ありである。
とりあえず、2人の好きな雑貨屋に行って、物色した。
しかし、買おうと意気込んでいるときに限って、これ!というものがない。
結果、成果なし。
2人でああだこうだ言いながら、物を見て回る、ただ楽しいだけの時間となった。
最初のコメントを投稿しよう!