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さあ、次はどうしようかと考えて、私は母を駅ビル内の無印良品に連れて行った。
ここに、ミニリュックサックという、ぜひ母に買ってほしい商品があったのを思い出したのだ。
前述のとおり、母は荷物を減らすことに命をかけている。
最低限必要な、財布、スマホ、老眼鏡(これが最も重要。ないと、上2点が全く機能しなくなる)を入れるだけのリュックがほしいと常々言っていた。
しかも、リュック自体が軽いというのが前提である。
意外と、これがないのだ。
コンパクトなかばんはあるのだが、背負うのではなく、斜めがけにするのが多い。
それではだめなのだ。両肩均等に負荷がかかるようにしなくてはならない。
母に商品を見せると、やはりドストライクだったようだ。
「そうそう、これこれ! こういうのがほしかった!」
喜んで、手にしたリュックをバシバシ叩いている。落ち着け。
とりあえず、これは私からのプレゼント、ということにした。
それから、通常サイズのリュックも買った。
これは、私と同じ6月生まれの弟にあげるためだ。
誕生日当日、LINEを送った際に、何が欲しいか考えておけと言ったのに、ついぞ返事は来なかった。
仕方ない、そういう男なのだ。
これといってこだわりもなく、物欲もない。自分から行動はせず、誰かの後ろをついてくるタイプである。
しかし、あげれば素直に喜んでくれるし(もちろん、いらないものは喜ばないだろうが)、誘えばおとなしくついて来てくれる。
この性格は、母似である。私とは逆だ。
末っ子同士と言うのも、関係あるのだろうか。
弟は2019年現在、学生である。
一般的な学生の年齢よりはずっと上だが、本人の意志あって、学生をやっている。
毎日リュックにずっしり重い教材を入れて通っているので、リュックの消耗が激しいらしい。だんだん破れてしまうのだそうだ。
となればまあ、リュックはあげても困らないだろう。
使ってもらえれば、どうせ1年かそこらで破れるのだ。そんなに高価なものでなくていい。
私は母のリュックと弟のリュック、それからついでに自身のタンクトップも買うことにした。
「いや、タンクトップも買うんかい、」
という母のツッコミを背に受けて、レジに向かったのだった。
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