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帰宅して、それぞれ順番に風呂に入り、何やかんや支度して、母が父にメールを送って、宅飲みを開始したのは、何とちょうど深夜0時であった。
それにしても、こんな夜中からコンビニで買って家で飲みパーティーするなど、まるで大学生のようだ。
あれは、大学生の若さゆえ出来たのだ。我々が今こうして夜中に飲み食いして夜更かしすれば、きっと明日以降に支障が出てくる。
すぐには出てこない。歳をとるにつれて筋肉痛が遅れてやってくるのとおそらく同類だ。月曜の午後くらいに特に顕著に現れると思われる。
「夜中にドライカレーを食べる私……」
母がぶつぶつ言いながら、ドライカレーのおにぎりを食べている。
「おいしい……」
それを言うなら、私は夜中にビールともつ煮だ。
ここまで来たらあきらめるしかない。
明日や今後の体重に関しては、今は一切考えてはならないのだ。
私たちの会話は、それはそれは盛り上がった。
夏や秋の今後の予定や、仕事のグチ、ソ連最後の大統領、ゴルバチョフの話も出た。何故その話になったのか、流れは全く覚えていないが。
「ゴルバチョフはいい人なんだよ」
と母が言う。
「いや、何か知り合いみたいな言い方おかしくない? この前スーパーで見たんだけど、いい人だったみたいな」
まあ、こんな感じである。
蛇足であるが、学生のころ『ゴルバチョフ』と日本の『後鳥羽天皇』が頭の中でなぜかくっついて『ゴトバチョフ』と言ってしまい、母と弟に爆笑されたことを思いだしていた。
あとは家族の近況、特に弟の話で盛り上がった。ご飯を食べないとか、明け方まで酒を飲みながらPCで何やら課題をしているだとか、そのまま寝落ちしているだとか。
シャツを着ないまま寝ているので、母が起こして、寝ぼけている弟にシャツをかぶせてやる。
すると、白目のままもぞもぞ動いて、腕を通して自分で着るのだそうだ。
弟よ、大丈夫か。君の人生それでいいのか。
母と姉にめちゃくちゃ話のネタにされているぞ。
いや、それどころか姉にエッセイのネタにされているぞ。
だって面白いではないか。私もその様子を見たことがあるが、さながら虫の脱皮のようである。
それと、白目をむいたまま寝るな。あれはなかなかびっくりする。
今ごろ、彼は大くしゃみをしているだろう。
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