母、コロッケパンを語る

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母、コロッケパンを語る

 翌朝。  いや、当日朝と呼ぶべきか。  2人そろって起きだしたのは、午前9時半ごろだった。 「日曜に9時に起きるなんて……」 と母がつぶやいている。  普段なら、パートに出かけるために、もう支度をしているころだ。  私も、9時まで寝込むことはまずない。  しかし、昨日(いや、今日か)寝たのが3時半だから6時間……まあ、普通か。  コーヒーを淹れるために、湯をわかす。  私は朝は必ずコーヒーを飲む。この習慣は母譲りだった。  母が毎日飲んでいるのを真似して、私も高校生くらいからコーヒーを飲むようになった。  中学のころに、初めはカフェオレやコーヒー牛乳から入って行って、少しずつコーヒーが好きになっていった。  今淹れているこの粉コーヒーだって、実家で飲んでいるのと全く同じもの。  昔からずっと変わらない朝の香りだった。  私は基本、砂糖もミルクもどちらも入れる。  気分や店によっては、砂糖だけにすることもある。  仕事中はほっこりしている場合ではないし、眠気覚ましに飲んでいるようなものなので、薄いインスタントでブラック一択。  母は、濃い味が好きなくせに、胃が痛くなってしまうと言って砂糖もミルクもたっぷり入れる。何とまあ、ぜいたくだ。
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