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さよならバイバイ、水分、ボタン、そしてドア
その日、起きたときからお腹の調子があまりよくないことは自覚していた。
いつも通り準備をして、自宅を出る。
駅までは歩いて10分ほど。朝7時にも関わらず、すでに日差しが暑い。
ホームに立って電車を待つころには、汗はダラダラ。頭はぼーっとしてくるし、お腹はかいた汗のせいで不快指数が上がっていた。
電車に乗りこむ。私の通勤時間帯は、ラッシュのど真ん中で、まず座れることはない。つり革が捕まえられれば良い方である。
ここから40分ほど、立ちっぱなしとなる。
しかしどうも、お腹の様子がよろしくない。
最悪、途中下車する羽目になるかなあ……などと思いながらエブリスタを読んでいた。
異変が起きたのは、ちょうど経路の半分を過ぎたころだった。
ある駅を出発したタイミングで、急激にお腹が痛くなってきた。
これ、来たな。ちょっとまずいかもしれない、次の駅で下りよう。
痛みに加えて、体の力が入らなくなってきた。
「……?」
体がフラフラする。呼吸が荒くなる。
明らかに、いつもの腹痛の症状とは違う。
つり革と手すりにつかまり、何とか体を支えている状態。
ダメだ、倒れる。早く着いてくれ!
次の駅に着いたとたん、私はすでに混み始めてきた車内をすり抜けて、ホームに飛び出した。
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