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無事に電車を乗り継ぎ、キルフェボンに到着したのは、10:30過ぎ。
すでに、列が出来ていた。
「おお……もう並んでいるよ」
「早めに来て正解だったね」
この日の東京は本当に寒かった。
ビル風という名の北風も吹き付けてくる。
「首が寒い……」
とN子がぼやいた。
見ればマフラーはしていないし、コートも首の防備は緩い。さらに、長髪をバッチリ後ろでまとめているのであった。
耳から首まで丸出しである。
「そりゃ寒いでしょうね」
一方の私は、マスクと耳まですっぽり覆ったボブヘアーの上からマフラーをぐるぐる巻きにしている状態であり、ほぼ目しか出していない。それでも寒いのだ。
「うっかり髪結んじゃったからさ」
「本当ね」
「荷物になると思ってマフラー持ってこなかったんだよ」
「やっちまったね」
「やっちまった」
途中、N子のスマホでパズルゲームを始めた。
彼女がプレイするのを、ぼけっと見る。
そうこうしているうちに、開店した。
「お、開いたよ」
~*~*~
中は、アンティーク調でとてもおしゃれだ。
うっかり、いつも通りのジーンズとスニーカーで来てしまった自分がとんでもなく場違いな気もしてくる。
しかし、思っていたよりお客さんもおしゃれな方々ばかり……というわけでもない。
とにかくケーキを食べよう。
うん、私はケーキを食べに来たのだ。
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